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「友達とあまり遊ばず、家にこもりがちな子どもが心配」という悩みへの田口ランディさんのアンサー

2020/01/10 文賢マガジン編集部 「友達とあまり遊ばず、家にこもりがちな子どもが心配」という悩みへの田口ランディさんのアンサー

「あっ、それってそう考えればいいんだ!」
世の中の悩める人たちに、言葉の紡ぎ人がアドバイスするリレー連載「わたしのアンサー」。

今回の回答者は、小説家・田口ランディさんです。

「小学生になる子どもが友達と遊ばず、ひとり部屋で遊んでばかり・・・」と悩む母親に、ご自身の経験を踏まえて回答していただきます。

講演会やイベントなど、いろいろな場所で登壇されているランディさんですが、もともとは内気な性格だったといいます。

内気な性格だからこそ、向いている仕事もある。
ランディさんが紡いだ言葉は、包み込むようなあたたかいアンサーでした。

相談

小学2年生の男の子をもつ、母親です。
息子は、もともと大人しい性格で無口な子でした。
幼稚園では、特別仲のよい友達はできなかったようです。

「小学生になったら社交的になるかな?」と思っていたのですがあまり変わらず、自宅でひとりゲームをしたり、動画を観たりと部屋にいることが多いです。
放課後に友達と遊ぶ約束などもとくにしていないようです。

学校での様子を見たわけではありませんが、このままだと息子のコミュニケーションに問題が出てしてしまうのではないかと、心配しています・・・。

(30代・主婦・女性)

こんにちは。
文面からお子さんに対するお母さんの愛情が伝わってきます。
実は、私も子どものころは無口で内向的な性格でした。

そう言っても今は誰も信用してくれないのですが、一人で遊ぶことが大好きで、本を読んだり絵を描いたり、部屋にいることが多かったです。
集団行動も苦手で、よく学校をズル休みしました。

ありがたいことに私の家はあまり裕福ではなかったので、母親はパートの仕事に忙しくて子どものことはほったらかし。
おかげで自分の空想世界でのびのびと遊ぶことができました。

日本では外向的なお子さんのほうが「元気があってよし」と褒められがちです。
外向的なほうがちょっとお得な社会なのです。
もしかしたら少し内向的な息子さんは学校でも先生の心配の種になっているかもしれません。
幼稚園から小学校の低学年にかけて「子どもは明るく元気なもの」という先入観をもった大人によって、内向的な子どもたちは少し傷ついています。

親御さんの期待、先生の心配、それらは子どもにとって無言の外圧なんです。
「あれ、いまの自分ではだめなのかな?」
「やりたくないこともしなくちゃいけないの?」
子どもはお母さんが大好きですから、ムリをしてでも親の期待には応えたい。
幼いゆえに親に合せてがまんしている自覚がなく、気持ちをうまく表現できません。

私の場合、成長するに従って外向的な部分を育ててはきましたが、もともと内向的な性格なので作家というややネクラな職業に就きました。
友人たちといる時は人一倍おしゃべりですが、一人の時間が圧倒的に長いです。
子ども時代、ひきこもって本ばかり読んでいた時間が仕事に役立っていると感じます。

安心して、息子さんを信じ、見守ってあげてくださいね。
しだいにユニークな個性が立ち上がっていき、大空に羽ばたいていかれますよ。

回答してくれた人

田口ランディさん

田口ランディ(たぐち・らんでぃ)

1959年生まれ。作家、エッセイスト。2000年『コンセント』で作家デビュー、2001年『できればムカつかずに生きたい』で婦人公論文芸賞受賞。著書に小説『アンテナ』『モザイク』『富士山』『被爆のマリア』『キュア』『蠅男』、エッセイに『忘れないよ! ヴェトナム』『ひかりのあめふるしま屋久島』『神様はいますか?』『寄る辺なき時代の希望』『パピヨン』『生きなおすのにもってこいの日』ほか多数。

代表的な執筆作品

リレー連載「わたしのアンサー」

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