この文章は文章作成アドバイスツール「文賢」で
チェックし、作成しました。
文賢マガジン編集部の森です。
この記事では、接続助詞「が」の適切な使い方を取り上げます。
あなたは文章を書くときに、以下のように「が」を使っていませんか?
- 先日お送りいただいた見積書ですが、上長の承認がおりました。
- リモートワーク制度を導入しましたが、地方在住の優秀な人材を採用できました。
上記の「が」は、会話内(話し言葉)ではよく使いますし、一見、違和感のない文に思えるかもしれません。
また、文法上も誤りではありません。
しかし、文章を書くとき、とくに「書き言葉」としては、読み手の混乱を招くおそれがあります。
なぜなら、「が」の存在によって、読み手は「なにか反対の内容が続くのではないか?」と予測してしまうからです。
冒頭の2つの例文について、「が」の前後で文を区切って読むと、その違和感に気づきやすくなるでしょう。
【例文1】
取引先:「先日お送りいただいた見積書ですが、」
自分:(「が」があるということは、見積書になにか問題があったのかな・・・?)
↓
取引先:「上長の承認がおりました」
自分:「ありがとうございます(あれ、先ほどの「が」は何だったの・・・?)」
【例文2】
取引先:「リモートワーク制度を導入しましたが、」
自分:(「が」があるということは、制度を導入して問題が発生したのかな・・・?)
↓
取引先:「地方在住の優秀な人材を採用できました」
自分:「それなら安心ですね(あれ、先ほどの「が」は何だったの・・・?)」
このように、文の途中で「が」を気軽に使ってしまうと、読み手に余計な思考をさせてしまいます。
そのため、読みやすい文章を書くためには、接続助詞「が」は逆接に限定して使いましょう。
逆接とは、以下の例文のように「先に述べた事柄」に対する 「予想外の結果」を結びつけた関係です。
【逆接の例】今日は雨ですが、彼はグラウンドを走っています。
この記事では、読み手の混乱を招きやすい「が」の例文と、「が」を適切に使えているかを簡単に見分ける方法を紹介します。
文章を書くときには、接続助詞「が」の使い方に気をつけましょう。
「が」の使い方を意識すると、読みやすい文章になりますよ。
1.接続助詞「が」を逆接のみで使うべき理由
冒頭でお伝えしたとおり、文章(書き言葉)において接続助詞「が」は、先に述べた事柄に対して反対の内容を結びつける逆接の用途で使うのが適切です。
たとえば、上司からのチャットで、以下のような文面が届いたとします。
あなたは、どのような内容が後に続くと予測しますか?
【例】●●さんが作ってくれた資料を読みましたが、?
「自分の資料に不備があったのだろうか」「わかりにくかったのか」と、ネガティブな内容を予測しませんか?
もし、予測に反してポジティブな内容がくると、頭が少し混乱してしまい、スムーズに読めません。
【NG】●●さんが作ってくれた資料を読みましたが、とてもわかりやすいです。
「が」の前後で文を区切って、逆接の接続詞「しかし」でつなげると、その違和感がより明らかになります。
【NG】●●さんが作ってくれた資料を読みました。しかし、とてもわかりやすいです。
このように、逆接以外で「が」を使ってしまうと、読み手の混乱を招くおそれがあります。
だから、接続助詞の「が」は逆接に限定して使うべきなのです。
逆接以外で「が」が使われている文は、文法的には誤りではないものの、スムーズに読めなかったり、読み手を混乱させたりします。
その理由は、逆接の接続詞「ですが」「ところが」などに「が」の文字が含まれることにあります。
そのため、文中で「が」を見ると、読み手は無意識に逆接の印象を抱き、逆の内容が続くと予測しやすいのです。
比較するために、適切な「が」の使い方の例文も見ておきましょう。
【例】SNSで「おもしろい」と評判の映画を観たのですが、?
上記の例文も同じく、接続助詞「が」の存在によって、後に続くのは「反対の内容」だと予測します。
この場合、以下のように「反対の内容」が続けば、混乱せずスムーズに読めます。
【OK】SNSで「おもしろい」と評判の映画を観たのですが、私は興味をもてませんでした。
「おもしろい」に対して反対の「興味をもてない」が後に続くので、これは逆接であり、適切な「が」の使い方です。
2.接続助詞「が」を逆接で使えているか見分ける方法
自分の書いている文章内の「が」を逆接で使えているか、簡単に見分ける方法を紹介します。
「が」の前後で文を区切って、接続詞「しかし」でつないだときに違和感がなければ、逆接で使えているのでOKです。
冒頭で紹介した2つの例文について、文中の「が」を「しかし」に変更して読んでみましょう。
【例1】先日お送りいただいた見積書ですが、上長の承認がおりました。
↓
【NG】先日お送りいただいた見積書です。しかし、上長の承認がおりました。
【例2】リモートワーク制度を導入しましたが、地方在住の優秀な人材を採用できました。
↓
【NG】リモートワーク制度を導入しました。しかし、地方在住の優秀な人材を採用できました。
上記2つの例文は、「が」の前後で文を区切って「しかし」でつなげると、明らかに不自然であることがわかります。
つづいて、「が」の適切な使い方である逆接の例文も見てみましょう。
文中の「が」を「しかし」に変更して読んでみます。
【例3】急ぎましたが、間に合いませんでした。
↓
【OK】急ぎました。しかし、間に合いませんでした。
例3は「急いだのに間に合わなかった」の意味であり、逆接の使い方として適切です。
このように、「が」の前後で文を区切って、接続詞「しかし」でつなげることで、簡単に見分けられます。
それでは最後に、どのような文脈では「が」を使わないほうがよいのか、パターン分けして紹介しますね。
3.接続助詞「が」の使用を避けたい2つのパターン
ここからは、接続助詞「が」の使用を避けたほうがよい2つのパターンを、リライト例とあわせて紹介します。
「が」を使うと不自然になるケースとして、「単純な接続」と「順接」があります。
1.単純な接続
「単純な接続」とは、前後の文脈を単純につなげることです。
この場合は「が」ではなく、「は」「を」などで接続しましょう。
リライト例1:接続助詞を変える
【Before】先日お送りいただいた見積書ですが、上長の承認がおりました。
【After】先日お送りいただいた見積書は、上長の承認がおりました。
リライト例2:接続助詞を変える
【Before】14時からの会議ですが、15時に変更していただくことは可能でしょうか。
【After】14時からの会議を、15時に変更していただくことは可能でしょうか。
2.順接
「順接」とは「先に述べた事柄」に対して「順当な結果」を結びつけた関係です。
順接を表わす場合は、以下のような「順接の接続詞(接続助詞)」を使用するとよいでしょう。
【順接の例】
そして、そのため、すると、よって、~ので、~から
リライト例1:接続助詞を変える
【Before】リモートワーク制度を導入しましたが、地方在住の優秀な人材を採用できました。
【After】リモートワーク制度を導入したので、地方在住の優秀な人材を採用できました。
リライト例2:文を分けて接続詞でつなぐ
【Before】事業拡大のためプロジェクトマネージャーを採用したのですが、彼は期待以上の成果を出しています。
【After】事業拡大のためプロジェクトマネージャーを採用しました。そして、彼は期待以上の成果を出しています。
まとめ
上記のように、接続助詞「が」を逆接以外で使うと、読み手を混乱させる原因になります。
文法上は、接続助詞「が」を逆接以外で使うことも誤りではありません。
しかし、読みやすい文章を書くためには、接続助詞「が」は逆接に限定して使いましょう。
最後に、文中の「が」が適切であるかを見分ける簡単な方法をおさらいします。
接続助詞「が」の前後で文を区切り、接続詞「しかし」でつなげたときに違和感がなければOKです。
【例】急ぎましたが、間に合いませんでした。
↓
【OK】急ぎました。しかし、間に合いませんでした。
実際のところ、普段文章を書くときに「が」の存在を気に留めている人は少ないと思います。
ですが、たったの一文字で「文章の読みやすさ」が変わるので、文章力アップを目指す人はぜひ心がけてみてくださいね。
文賢マガジンでは、これからも文章作成に関するコンテンツを発信していきます。
次回以降の記事もお楽しみに。